こんにちは、名古屋市で税理士事務所を開業している税理士の鈴木宗矩と申します。
政府および与党は、2024年度の税制改正において、今年6月に発表された「骨太の方針」にて示された退職金課税の見直しを盛り込まない方向で調整中のようです。
<退職所得控除について>
現行の所得税法では、退職金を受け取った場合の退職所得は、以下の計算式によって算出されます。
退職所得=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額は、勤続年数に応じて異なります。
- 20年以下の場合は40万円×勤続年数、
- 20年を超えると800万円+70万円×(勤続年数−20) ※結果として、勤続年数が長いほど控除額が大きくなります。この仕組みが転職などに制約を与えるとして、一律にする改正案が浮上していました。
<来年以降の税制改正の可能性>
今年度は退職金課税の見直しが見送られましたが、自民党の宮沢税制調査会長は「10~15年後から始めるのが望ましい」との見解を示し、将来において再び議論が巻き起こる可能性があります。もし退職金課税が見直されれば、サラリーマンにとって増税となるでしょう。
<まとめ>
2024年度の税制改正では、勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額の縮小が見送られる方針となりました。
しかし、今後同様の議論が再燃する可能性があるため、今後の動向に注目が必要ですね。