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2025年11月19日

2割特例の終了が迫る中、小規模事業者はどう動くべき?

 こんにちは!名古屋市で税理士事務所を開業している税理士の鈴木宗矩と申します。

 本日は、2025年〜2026年にかけて大きな影響がある「インボイス制度の 2割特例終了」について解説します。

「2割特例が終わったらどうなるの?」
「簡易課税にした方がいい?」

そんな疑問を持つ方に向けて、ポイントを整理しました。


■ そもそも「登録取消し」はできるの?

● 登録取消しの方法

 インボイス発行事業者をやめたい場合は
「登録取消しの届出書」 を税務署に提出します。

ただし、提出した瞬間に登録が消えるわけではありません。

● 登録が消えるタイミング

取消しの効力が発生するのは
届出を提出した課税期間の“翌課税期間”の初日です。


▼例:12月決算の場合

11月に届出書を提出
→ 登録が消えるのは 翌課税期間の初日=翌年1月1日

▼注意点

● 翌課税期間の初日から数えて“15日前”までに提出が必要
 (これを過ぎると翌々課税期間スタート時にずれ込む)
● 15日計算には土日祝日も含める
● インボイス登録を失っても「課税事業者のまま」
 → 最低2年間は免税に戻れません

つまり、「登録はやめられるけど消費税からは逃げられない」期間が続く点に注意が必要です。


■ いよいよ2割特例が終了!

2割特例は、
「売上にかかる消費税の2割だけ納めればいい」
という非常に有利な制度でした。

しかし、この特例は
令和8年(2026年)9月末で終了 します。

終了後は
● 本則課税
● 簡易課税
のどちらかを選ぶことになります。


■ 2割特例終了後はどれだけ負担が増える?

年間売上:800万円(税抜)
課税仕入:320万円(税抜)
という小規模事業者で比較してみます。

① 2割特例のまま(終了するまで)

● 売上消費税:80万円
● 納税額:80万円 × 20% = 16万円

② 本則課税になると

● 売上消費税:80万円
● 仕入控除:32万円
→ 納税額:48万円

③ 簡易課税(みなし仕入率50%の場合)

● 計算:80万円 × 50% = 40万円


▼結果

2割特例 → 16万円
本則課税 → 48万円(約3倍)
簡易課税 → 40万円(約2.5倍)

負担は一気に2.5〜3倍に!
だからこそ、今から対策が必要です。


■ 簡易課税に切り替える場合の提出期限

通常は、
適用したい課税期間の初日の前日までに届出が必要
ですが、2割特例を使っている人には特例があります。

▼特例

2割特例を使った翌課税期間中に提出すればOK!
→ 提出した課税期間から簡易課税を利用できます。

提出期限が通常より“緩和”されています。


■ 今から何を検討すべき?

① 登録を続けるか?取消すか?

・インボイスが必要な事業かどうか
・取引先との関係
・自社の売上規模
を踏まえて判断します。

② 2割特例終了後の納税額を把握

いきなり納税が3倍になると資金繰りに影響します。

③ 簡易課税と本則課税をシミュレーション

業種によって有利・不利が大きく変わります。


■ まとめ

2割特例は非常に有利な制度でしたが、2026年9月で終了します。
終了後は消費税負担が大きく増えるため、

✔ 本則課税のままでいいのか?
✔ 簡易課税に切り替えるべきか?
✔ インボイス登録を続ける必要があるのか?

を早めに検討することが大切です。

特に売上1,000万円未満〜数千万円の事業者は影響が大きいため、今のうちに相談やシミュレーションをしておきましょう。

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