2025年07月23日
「年収の壁」はどう変わった?〜103万・150万時代から160万時代へ〜
こんにちは、名古屋市で税理士事務所を開業している税理士の鈴木宗矩と申します。
本日は、最近複雑化している「年収の壁」についてお話します。
パートやアルバイトで働く方にとって、「いくらまで働いたら税金がかかるの?」「扶養から外れちゃうのはどこ?」というのはとても気になるポイントですよね。
税制改正により、この「年収の壁」に大きな変化がありました。今回はそのポイントを分かりやすく解説していきます。
■改正前の「年収の壁」はどうだった?
これまでは、主に以下の2つの壁が意識されてきました。
1. 103万円の壁
これは2つの側面があります。
- 本人にとっての壁
→ 年収が103万円を超えると、自分自身に所得税がかかる可能性が出てきます。 - 扶養の壁(親や配偶者にとっての壁)
→ 扶養控除の対象になるために、扶養される側が超えてはいけない上限として103万円が意識されてきました。
2. 150万円の壁
これは主に「配偶者特別控除」を満額受けられる年収ラインです。
つまり、配偶者が150万円を超えると、世帯主の控除額が減ることになります。
■今回の改正で「年収の壁」はどう変わる?
今回の税制改正では、以下のような見直しが入りました。
- 給与所得控除の最低額が 55万円 → 65万円 に引き上げ
- 所得に応じて 基礎控除額 が増額
- 大学生世代(19歳〜23歳)への 特定親族特別控除 が新設
これにより、「年収の壁」は次のように変化します。
区分 | 改正前の壁 | 改正後の壁 |
---|---|---|
本人にとっての壁 | 103万円 | 160万円 |
配偶者(配偶者特別控除) | 150万円 | 160万円 |
大学生(19〜23歳) | 103万円 | 150万円 |
その他の扶養親族 | 103万円 | 123万円 |
■まとめ:年収の壁は“広がったけど、複雑化した”
一見、「年収の壁が上がって壁を気にしないで働けるようになった」と思える改正ですが、実は対象者によって壁の金額が異なるため、かえって複雑になったとも言えます。
パート・アルバイトで働く方は、
- 自分がどの立場なのか(本人・配偶者・子など)
- 税金や扶養への影響がどうなるのか
をしっかり把握した上で、働き方を考えることが大切ですね。
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